盛り塩の進化

塩には元来防腐効果があり、古来より塩を用いて清める・お祓いをするという文化が洋の東西を問わず存在します。
その中でも特に日本人である私たちに一番身近なのは、盛り塩ではないでしょうか。そのルーツには諸説ありますが、中国の故事からきているという説が一番有力だと言われています。
中国の秦の始皇帝や晋の時代、一夫多妻制だった当時の皇帝には多くの妻がいました。
そのため、毎夜牛車で彼女たちのもとへ通います。しかしながら、どの女性(妻)を選ぶかは悩みどころ。(あまり自分の一存でだれかを贔屓にすると、不満がでてしまいます。)
そのため、皇帝は牛が止まった場所をその晩の拠り所としたとされます。
賢いある女性は、皇帝を乗せた牛車が自分の家の目の前で止まるように、牛が大好きな塩を自宅の戸口へ置きました。その結果、牛が塩を求めていつも彼女の家の前で止まります。結果、彼女は皇帝の寵愛を独り占めにできたといわれています。
その事から転じて、本来盛り塩は「チャンスを与える、福を与える」といった意味合いを持ちます。
これが日本に渡り、お清めや縁起をかつぐといった意味合いに変化していきました。
飲食店など人の往来が盛んで、色々な気が混ざり合う場所で、邪気を祓うために置かれているのをよく目にしますよね。
盛り塩は毎日交換することが望ましいとされていますが、福しおは祓う力が強いために、一ヵ月に一度程度の交換が目安です。